2020年 買って良かったプラグイン その3 XLN Audioの「XO」と「RC-20」

今年買ってよかったプラグイン、第3回目は「XLN Audio」の2つのプラグイン、「XO」と「RC-20

XLN Audioっていうプラグインメーカー

多分もう知らない人はいないというか、生ドラムの音を使いたい人は、もってない人はいないんじゃないかと思う「Addictive Drums」をメインに、ピアノやエレピの音源「Addictive Keys」、今回紹介するドラムマシン的な「XO」、エフェクトシリーズでレトロエフェクトの「RC-20」、また、ドラムシェイバーの「DS-10」や、ドラムのレコーディング後に音をリプレースする「Addictive Trigger」などのプラグインを出している、スウェーデンのメーカー。

一時期は、テレビから流れてくる生ドラム系の音は、ほとんどAddictive Drumsだったんじゃないかってくらいなので、誰もが1度は間違いなく耳にしているであろう音源。沢山の作曲家たちが「使っている」と公言しているので、逆に言えば、コレを買えば同じ音が出るってこと。(エンジニア的な処理はともかく)

自分もAddictive DrumsAddictive Keysは、かなり早くから導入していて、Addictive Drumsは、沢山のドラムキットパック(ADPak)もあるので、みんなと同じにならないように、コレだってわからないように処理したり、Addictive Keysは、Studio Grandの音が結構好きなので気に入ってよく使ってる。
とにかく動作も軽いっていうのもいい。

で、発売された頃に欲しいなと思ってたXOやRC-20の存在を、今年のいつだったかの誰かのツイートで「買ってないや」って気が付いて(笑)あのあと導入して、すぐ使い始めた。
これがなかなかのヒットだったので、今回紹介していく。

XO
ビートメイクツールなんて書いてあるから、ちょっと勘違いしちゃいがちだけど、このプラグイン、そんな単純なビートメイクツールじゃないって。

このインターフェイス、何がすごいって、この点一つ一つが単発のドラム音だってこと。もうコレ銀河みたいだろ…。
もともと8000以上の単発サンプルが入ってるんだけど、導入後にすぐにやったことは、常時繋がってる4つのハードディスク(SSD)の中にあるすべてのオーディオファイルを登録して解析(オート)すること。自分でサンプリングしたオーディオファイルだけじゃなくて、LoopMastersなどのサンプルを売ってるサイトで買った音や、別なプラグインのライブラリの中(NIのとかなんでも!)にあるWAVやAIFFのオーディオファイル(独自形式はNG)まで、サンプルの帯域を解析して星の渦の中に配置、キックならキックの帯域にあるオーディオファイルを片っ端から切り替えて、自分好みの音を見つけていくスタイル。解析には時間がかかるけど、終わったら、数十万のサンプルの中から音を選ぶことになって!あれ?うちにこんなにあったっけ?なんて。
説明文には「ハッピーアクシデント」なんて書いてあるけど、本当にその通りだよね。

8つの各トラックでは、それぞれでエディットが出来るので、自分の好みの音を見つけたあとに、曲に合うようにピッチを修正したり、ADSRで長さを整えたりフィルターやエフェクトをかけたりも。ステップシーケンサーもあるので、XO内でシーケンスを組む事も可能。しかも、シーケンスのランダムボタンまであるので、ここでも「ハッピーアクシデント」が発生しちゃう。ランダムに切り替えていって、面白いパターンが出来たらそのまま使うもよし、エディットするのもよし。

問題なのは、点が多すぎてどこに何があるのかよくわからん事(笑)多分この辺だったっけ?と思っても、違ったりね。
サンプルが置かれる場所は、帯域と長さで決まるらしい。エディットセクションを表示させてるので見えないけど、この下の方まで沢山のサンプルがある。音を聴いてみると、確かにすごい低音!

XOは、「この音」って目的の音が無い場合や、アクシデント的に「何かいつもと違う音にしたい」って場合には、最適なドラムマシン。
鍵盤やPADで弾きながらや、内蔵のステップシーケンサーを流しながら、どんどん変更していって、ハッピーアクシデントを楽しむ使い方が正解なのかも。

次のバージョンでは、この宇宙が3Dになったりしないだろうか!と、密かに期待しつつ。

RC-20 Retro Color
いろんな音に使いたい、ヴィンテージアナログ機器の温かみを再現するマルチエフェクトプラグイン。

とは言っても、HAやComp的なものではなくて、レコードやテープのヴィンテージアナログ感の方。
例えば、ピアノを弾いて、このRC-20を入れるだけでローファイヒップホップピアノの出来上がり。立ち上げた瞬間にだよ?デフォルトのプリセットでコレってことは、この方向で使ってくれってことなのは間違いないんだけど、さらにリバーブ足したり、揺れを増やしたりと、自分好みも思いのまま。プリセットも、ブレイクビーツに合うヤツとか、12bitサンプラーだったりとか、Retro Gameとか、VHSとか、Vinylとかいかにもな名前が多いのも、なるほどと思う。やっぱりそういう用途で使えるエフェクトということ。

パラメーターは、Vinylノイズやヒスノイズなどを付加するNoise Generatorと、レコードプレイヤーやテープのモーター動作によるピッチの揺らぎを再現したWobble&Flutter、ディストーションモジュールのSaturaion&Distortion、ビットクラッシャーのDegrader&Bitcrusher、そしてリバーブモジュールのReverbと、ヴォリューム可変によるゆらぎを再現したVolume Dropsで構成。
この6個のパラメーターで作った音を、Magnitude Sliderでプロセスの強さ(MIX具合)を調整。

すべてのパラーメーターを使って、ローファイヒップホップを作るもよし、一部だけを使って、ロービットサウンドを作るもよし、エレピに挿してMagneticでトレモロサウンドを作り出したり、Wobbleのワウフラッターで少しだけ揺らして、さらにMagneticを入れてアナログレコード感を出したり。

ソフトシンセって、ハードシンセと違って余計な高域や低域が結構鳴ってたりする場合が多くて、ヘタすりゃキンキンするMIXになっちゃうので、こういう汚し系のプラグインを昔からよく使って馴染ませたりするんだけど、そういう用途にもRC-20はもってこいのプラグイン。
かけすぎると本当にローファイヒップホップになっちゃうので、それ以外のジャンルでは注意を。

軽いプラグインなので、何個でもトラックごとに挿せちゃうんだけど、実はリバーブも良くてね。このリバーブだけ使うのもアリ。エレピやシンセ系のリバーブにも合う気がする。

DS-10
オマケでDS-10も紹介。

いわゆるトランジェントシェイパーなんだけど、この手のプラグインでは、アタックとサスティーンで調整するだけなのが一般的。このDS-10では、そこにTilt EQのようなかかり方をするMOJOってパラメーターを追加されてるのが面白い。

ドラムの為に設計されたこのDS-10は、Kick、Snare、Busっていう3つのモードで構成されていて、それぞれのシェイプも3つのアルゴリズムがある。Naturalでは人間的なトランジェントを生成したり、Classicではオーソドックスなかかり方をして、Smoothではコンプっぽい処理になったりするので、一癖あるプラグインが好きな人にはもってこいなプラグイン。Addictive Drumsの後ろに入れるのもよし、XOの後ろに入れるのもよし。音によっていろいろ試してみるのもいいと思う。

■とにかく全体的に動作が軽い。
ハイ、コレ重要なので何度も言います。

XLN Audioのプラグインは、全体的に動作が軽いのが特徴だと思う。それなのに音が良かったりする。中身のことまではよくわかないけど、使う側からすれば軽いのは助かるよね。

ってことで。

ちなみに、Addictive Drums2のADPakは、サウンドシティ(現在はFairfax)で収録されたFairfax Vol.1、Ocean Way(現United Recordings)で収録されたUnited Pop、ABBAの1stアルバムがレコーディングされたというストックホルムのINGRIDスタジオで収録されたVintage Dryあたりが好き。

もうあまりいないと思うけど、持ってない人は、好きなADPakをいくつか選べるAddictive Drums 2 Custom XLを選ぶといいと思う。

ではまた。


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